ロシア上空を飛べるのに、なぜ赤字なのか——中国三大航空、2026年上半期最大90億元赤字の構造【航空経済】

N509FZ, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons/【写真:中国南方航空のB787-8型機】
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目次

はじめに

2026年7月14日夜、中国の航空大手3社——中国国際航空(Air China)、中国東方航空(China Eastern Airlines)、中国南方航空(China Southern Airlines)——は、2026年半年度(1〜6月)の業績予告を一斉に公表した。

3社合計の親会社株主帰属純損失は73.73億元〜89.73億元(約1,500億〜1,900億円規模)と、前年同期の合計47.70億元から大幅に拡大する見通しである。

一見すると、この結果は意外に映る。

現在、中国の航空会社は世界でも数少ない「ロシア上空を飛行できる航空会社」であり、欧州路線では欧州系航空会社に対して構造的な競争優位を持っているとみられるからだ。ロシア領空を利用できることで飛行距離は短縮され、燃料消費や飛行時間も削減できる。

それにもかかわらず、業績は改善どころか、赤字がさらに拡大した。

しかも注目すべきは、3社とも2026年第1四半期には黒字を確保していたという点である。第1四半期の3社合計利益48.28億元は、第2四半期にすべて吐き出され、さらに大幅な損失が上積みされた。

本稿では、この業績予告を手掛かりに、直接の引き金となった燃油価格の急騰と、その背後にある中国航空業界の構造的課題を分けて考察する。

本記事のポイント

  • 三大航の2026年上半期は合計73.73億〜89.73億元の純損失見通し(前年同期47.70億元から拡大)
  • 第1四半期は3社とも黒字(合計48.28億元)→ 第2四半期に一転して大幅赤字
  • 直接の引き金は2026年3月以降の航空燃料価格の急騰
  • ただし燃油だけでは説明できない構造要因——日本路線縮小、長距離シフトによるコスト構造変化、国有企業特有の固定費——が赤字体質の背景にある
  • 「ロシア上空を飛べる」という優位性だけでは収益構造を支えられない現実が改めて示された

1.【事実】業績予告が示す数字

各社が公表した2026年半年度業績予告の内容は以下の通りである。

会社2026年上半期予想純損失2025年上半期実績
中国国際航空21億〜26億元▲18.06億元
中国東方航空18億〜24億元▲14.31億元
中国南方航空34.73億〜39.73億元▲15.33億元
3社合計73.73億〜89.73億元▲47.70億元

3社の中で損失幅が最も大きいのは南方航空である。前年同期の15.33億元から2倍以上に損失が拡大し、非経常損益を除いたベースでは44.80億〜49.80億元の損失に達する見通しだ。中国メディアの分析では、同社の機材規模の大きさと幹線・国際線ネットワークの広さゆえに燃油費の絶対額が大きく、油価変動への感応度が3社の中で最も高いことが要因として指摘されている。

なお、これはあくまで業績予告(予想レンジ)であり、確定した半期決算は例年8月末に公表される。本稿の数値は今後の確定値と乖離する可能性がある点に留意が必要である。


2.【事実】第1四半期は黒字だった——「1Q黒字 → 2Q赤字」の反転

今回の業績悪化を「前年から赤字が続いている」と単純に理解するのは正確ではない。

2026年第1四半期、三大航は春節(旧正月)の集中的な移動需要と安定した燃油価格に支えられ、いずれも黒字を計上していた。

  • 中国国際航空:+17.14億元
  • 中国東方航空:+16.33億元
  • 中国南方航空:+14.81億元
  • 3社合計:+48.28億元

これが第2四半期に一転する。上半期予告(中央値)から第1四半期実績を差し引くと、第2四半期単体の純損失は3社合計で約130億元に達したと推計される。

わずか3か月で50億元規模の利益が130億元規模の損失に反転した——この振れ幅の大きさこそが、今回の業績予告の最大の特徴である。


3.【事実】直接の引き金は航空燃料価格の急騰

では、第2四半期に何が起きたのか。

3社は業績予告の中で、赤字の主因を共通して「2026年3月以降、国際地政学情勢の影響により航空燃料(ジェット燃料)価格が大幅に上昇したこと」と説明している。

具体的には、中東情勢の緊迫化を背景に原油・航空燃料価格が急騰し、2026年4月の中国国内の航空燃料総合調達価格は1トンあたり9,802元に達した。これは前月比で約74%、前年同月比で約73%の上昇である。

各社は4月5日から国内線の燃油サーチャージを引き上げた(800km超路線で120元/区間)ものの、証券会社のリポートが指摘する通り、第2四半期は民航の伝統的な閑散期にあたり運賃の引き上げ余地が乏しく、サーチャージだけではコスト増を吸収できなかったとみられる。

つまり、今回の赤字拡大の直接の引き金は、需要側ではなくコスト側——それも外生的な燃油ショックである。この点を押さえずに構造論だけで説明することはできない。

特に三大航は、民営LCCと比較して燃費効率の面で不利な大型ワイドボディ機の保有比率が高く、油価上昇の影響を最も強く受けやすい機材構成となっている。第1四半期に7社すべてが黒字を確保した中国上場航空会社の中で、第2四半期の打撃が国有三大航に集中したのは、この機材構成の差によるところが大きいと考えられる。


4.【考察】燃油だけでは説明できない——構造要因の存在

ただし、当ラボは今回の業績を「燃油価格が上がったから赤字になった」という一過性の事象として片付けるべきではないと考える。

注目すべきは前提条件である。三大航は2025年上半期——燃油ショックが発生する前——の時点で、すでに合計47.70億元の赤字を計上していた。2025年通年でも、南方航空こそ8.6億元の黒字転換を果たしたものの、中国国際航空は17億元超の赤字、中国東方航空も赤字(大幅減損)にとどまっている。

つまり、燃油ショックは「利益体質の会社を赤字に転落させた」のではなく、「もともと収益力の弱い体質に追い打ちをかけた」と見るべきである。

以下では、その収益力の弱さを形づくる構造要因を順に考察する。

4-1. 日本路線縮小の影響

2025年11月、高市首相の台湾有事をめぐる国会答弁を受けて日中関係が緊張し、中国政府は自国民に日本への渡航自粛を呼びかけるとともに、国内航空会社に対して日本路線の削減を指示したと報じられた。12月には中国発日本行きの便のうち約16%にあたる900便超が運休となり、中国系航空会社の日本路線の供給座席数は最大約24%削減されたとされる。

減便は2026年夏スケジュールにも及んでいる。中国国際航空は3月末からの夏スケジュール期間、日中間15路線で運休・減便を実施しており、地方路線を中心に運休が続いている。

コロナ前、中国航空会社にとって日本路線は効率の良い収益源だった。上海、北京、大連、青島などから日本まではおおむね2〜4時間程度で運航でき、一機の航空機を一日に複数回運航できる。ビジネス・観光・訪日・留学と多様な需要が存在し、年間を通じて比較的安定した搭乗率を維持しやすかった。短距離国際線であるため乗務員運用や整備計画も組みやすく、機材効率の面でも優れていた。

もっとも、この影響の大きさについては見方が分かれる。格付け機関のフィッチは、日本市場が中国本土航空会社の国際線輸送力に占める割合は通常10〜15%程度であり、影響は観光主体の路線や二次ハブ発着路線に集中するものの、業界全体への影響は限定的との見方を示している。

当ラボとしては、日本路線縮小は今回の赤字の「主因」ではないが、高回転・高効率の短距離収益源を失い、余剰機材を収益性の劣る路線へ再配置せざるを得なくなったという意味で、収益体質を弱める構造要因の一つになっているとみている。

4-2. 欧州路線の拡大は「市場回復」ではない

余剰となった機材の受け皿の一つが欧州路線である。

2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、多くの欧州航空会社はロシア領空を飛行できなくなった。東アジア路線では中央アジアや中東を経由する大きな迂回ルートを選択せざるを得なくなり、飛行時間の延長、燃料消費の増加など、運航コストは大幅に上昇した。

一方、中国航空会社は引き続きロシア上空を利用できるため、欧州までの飛行距離を短縮でき、この点だけを見れば欧州市場で非常に有利な立場にある。

しかし、今回の業績予告を見る限り、その優位性は赤字改善にはつながっていない。

その理由は、「欧州路線が増えたこと」と「欧州市場が成長したこと」は別の話だからである。現在、中国航空会社が運航している欧州路線の多くは、新たな需要が生まれた結果というより、欧州航空会社が運航を縮小・撤退したことで生じた空白を埋めている側面が大きいとみられる。市場全体のパイが拡大したのではなく、競争相手が減ったことでシェアが相対的に高まったに過ぎない可能性がある。

便数の回復と市場の回復は、同じではない。これは現在の世界の航空市場を理解する上で重要な視点である。

実際、中国航空会社の運賃水準を見ると、日中路線と中国〜欧米路線の価格差は、他国の航空会社に比べて非常に小さい。飛行時間が数倍長く、燃料費も大幅にかさむ長距離路線が、短距離路線と大差ない運賃で販売されているということは、長距離路線のイールド(単位収益)を十分に確保できていないことを示唆している。

さらに皮肉なことに、長距離路線である欧州線は燃料消費量そのものが大きい。ロシア上空経由で欧州系より短いルートを飛べるとはいえ、燃油価格が7割上昇する局面では、長距離路線の比重を高めた機材配置そのものが油価感応度を高める方向に働いた可能性がある。

4-3. 東南アジア路線も新たな利益源とは言い難い

欧州路線だけでは余剰機材を吸収しきれないため、中国航空会社は東南アジア路線にも機材を振り向けている。

東南アジア市場では、AirAsiaグループ、VietJet Air、Scoot、Lion AirグループなどのLCCが強い存在感を持っている。

しかし、価格競争を展開しているのはLCCだけではない。

タイ国際航空、ベトナム航空、マレーシア航空、シンガポール航空、ガルーダ・インドネシア航空などのフルサービスキャリアも、エコノミークラスでは比較的低い運賃を設定することがある。

特に東南アジアでは、観光需要の獲得、乗り継ぎ旅客の取り込み、路線維持、座席供給の消化などを目的として、フルサービスキャリアも積極的な割引運賃を設定している。

そのため、中国航空会社が東南アジア路線へ機材を振り向けても、LCCだけでなく、現地のフルサービスキャリアとも価格競争を行わなければならない。

中国航空会社にとって東南アジア市場は、需要規模こそ大きいものの、高い運賃と十分な利益率を確保しやすい市場とは言い難い。加えて、日本路線と比較すると飛行距離も長く、燃料費負担も増える。

つまり、東南アジア路線は機材を遊ばせないための受け皿にはなっても、日本路線の代替となる高収益市場にはなりにくいとみられる。

4-4. 旅客と貨物の分離

日中間では旅客需要の回復が遅れているが、それは物流まで縮小したことを意味しない。電子部品、半導体関連製品、自動車部品、越境EC商品など、日中間の航空貨物需要は一定の水準を維持しているとみられる。

コロナ前はこれらの貨物の多くが旅客機のベリーカーゴで輸送されていたが、旅客便が減少するとベリーカーゴの輸送能力も同時に失われる。その不足分を補う形で、貨物専用機による輸送が拡大した。

回復しているのは人の移動ではなく、企業活動を支える物流ネットワークである。現在の航空市場では、「人の移動」と「物流」は別々に考える必要がある。

4-5. 長距離シフトがコスト構造を変えた

日本路線の縮小によって余った機材を欧州や東南アジアへ振り向けたことは、運航コストの構造にも変化をもたらしたと考えられる。

日本路線では一日に複数回の離着陸を行うため、着陸料や地上支援費は比較的多く発生する一方、飛行時間は短く燃料消費も少ない。これに対し長距離路線では、離着陸回数は減少するものの飛行時間は大幅に長くなり、燃料費、領空通過料、乗務員の海外滞在費などが増える。

整備費用にも変化が生じる。整備には離着陸回数(サイクル)を基準とするものと飛行時間を基準とするものがあり、短距離路線の縮小によりタイヤ・ブレーキ・降着装置などサイクル管理部品の負担は軽減される可能性がある一方、長距離運航ではエンジンなど飛行時間管理部品の整備負担が増加する。

つまり、コスト構造そのものが「サイクル中心」から「飛行時間中心」へ変化したと考える方が実態に近い。そして飛行時間中心のコスト構造とは、燃油価格への感応度が高いコスト構造でもある。今回の燃油ショックで三大航の損失が突出した背景には、この構造変化も寄与していた可能性がある。

4-6. 国有企業という経営構造

市場環境だけでは説明できない要素として、三大航がいずれも国有企業であるという経営構造がある。

三大航は利益の最大化だけでなく、国家の航空ネットワーク維持や雇用の安定といった公共的な役割も担っている。そのため、需要が低迷しても、欧米の航空会社のように大規模な人員削減や路線整理を短期間で実施することは容易ではない。

コロナ禍では多くの欧米航空会社が大規模なリストラや機材削減を進め、固定費の圧縮を図った。一方、中国では雇用維持を重視する政策もあり、固定費は比較的高い水準で維持されてきたとみられる。一人当たりの給与水準が欧米より低くても、世界有数の機材数・従業員数を抱える三大航の総人件費は決して小さくない。

需要が力強く拡大している局面では問題にならない固定費が、需要の伸びが鈍化し利益率が低下する局面では経営を圧迫する。実際、2026年第1四半期に7社すべてが黒字だった中国上場航空会社のうち、2025年通年で先に黒字転換を果たしたのは春秋航空(23.2億元)、吉祥航空(10.4億元)など民営航空会社だった。第2四半期の油価ショックにおいても、民営航空会社と国有三大航の耐性の差は開いたとみられる。

4-7. 需要側の弱さ——中国経済の減速

コスト側のショックに加え、需要側の弱さも見逃せない。

2026年の労働節(5月連休)期間の民航旅客輸送量は日平均約211.4万人と、前年同期比で5.2%減少した。さらに、本来最大の書き入れ時である夏の繁忙期(暑運)も出足が弱く、7月上旬の航空券価格は軟調で、一部の人気路線では高速鉄道の運賃を下回る水準まで下落したと報じられている。

不動産市場の低迷、個人消費の伸び悩み、民間投資の減速といった中国経済の課題は、出張需要と観光需要の双方を抑制する。閑散期に運賃を引き上げてコスト増を転嫁できなかった背景には、この需要側の弱さがある。


5.【考察】世界の航空市場は新たな局面へ

今回の業績予告から見えてくるのは、中国航空業界だけの問題ではない。

2000年代から2020年頃までの約20年間、世界の航空市場は世界人口の増加、グローバル経済の発展、中国経済の高度成長、LCCの普及、観光需要の拡大といった複数の成長要因に支えられた「需要拡大型」の時代だった。新しい路線を開設し、便数を増やし、新型機を導入すれば需要がついてくる環境が続き、中国三大航もこの追い風の中で機材と国際線ネットワークを急速に拡大してきた。

しかしコロナ禍を経て、オンライン会議の定着により出張需要の構造は変化し、さらにロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の緊迫化、米中対立の長期化、経済安全保障の強化といった地政学リスクが、航路・コスト・需要のすべてに影響を与えるようになった。

各航空会社は採算性を最優先し、利益が見込める路線だけを慎重に維持・運航する「選択と集中」の時代へ移行している。「需要があるから飛ばす」から「利益が見込める便だけ飛ばす」への転換である。

そして今回の中東発の燃油ショックは、地政学リスクが「航路の制約」だけでなく「コストの急変」という形でも航空会社を直撃することを改めて示した。


6.【考察】ロシア上空という優位性の限界

今回の業績予告で改めて明らかになったのは、ロシア上空を飛行できるという優位性だけでは、航空会社の収益を支え切れないという現実である。

確かに、中国航空会社は欧州系航空会社より短いルートを飛行でき、燃料消費や飛行時間の面で優位に立っている。しかし、それはあくまで運航コストの一部の削減に過ぎない。

需要そのものが弱ければ高い搭乗率や運賃は維持できず、燃油価格が7割上昇すれば「欧州系より短いルート」であっても燃料費の絶対額は大きく膨らむ。日本路線の縮小によって失われた高回転・高収益の市場は、欧州や東南アジアでは完全に代替できていない。

「ロシア上空を飛べる」という優位性は、同一条件下での相対的な競争力を高める要素ではあっても、外生的なコストショックや需要低迷から航空会社を守る防波堤にはならない。


おわりに

中国三大航空会社の2026年半年度業績予告は、単なる赤字予想ではない。

直接の引き金は中東情勢に端を発する燃油価格の急騰という外生ショックだった。しかしその打撃がここまで大きくなった背景には、日本路線の縮小、長距離路線への機材再配置によるコスト構造の変化(=油価感応度の上昇)、東南アジアでの激しい価格競争、国有企業特有の削減しにくい固定費、そして中国経済の減速による需要の弱さという構造要因が横たわっている。

HSBCは三大航の2026年通年の合計損失を約168億元と予想しており(従来の市場予想は合計13億元の黒字)、第3四半期の暑運と第4四半期の国慶節連休で燃油コスト増をどこまで吸収できるかが、通年業績を左右する焦点となる。

今後、航空会社の競争力を左右するのは、単純な路線数や保有機材数ではない。限られた需要の中でどれだけ収益性の高い路線を維持し、燃油価格や国際情勢の急変にどれだけ柔軟に対応できるか——三大航の下半期は、その適応力を測る試金石になるだろう。


なぜ今回、中国の航空会社を取り上げたのか

近年、世界の航空業界は決して順風満帆な状況にはない。

原油価格の高止まりや地政学リスクの拡大、ロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の緊迫化などにより、多くの航空会社は燃料費や運航コストの上昇という課題に直面している。さらに、世界経済の減速やビジネス需要の変化も重なり、日本、アメリカ、欧州の主要航空会社でも利益率の低下や業績悪化が見られる。

しかし、その一方で、多くのメディアでは「中国の航空会社はロシア上空を飛行できるため有利である」「欧州路線で一人勝ちしている」といった報道が少なくない。

また、日本国内では、中国からの訪日客(インバウンド)が激減していることを問題視し、「早期にコロナ前の水準へ戻ることが望ましい」とする論調も多く見受けられる。

確かに、中国の航空会社はロシア上空を利用できるという競争優位を持っている。また、日本路線の回復は観光業や地域経済にとって重要であることも間違いない。

しかし、本当に中国の航空会社だけが好調なのだろうか。本当に中国からの需要が戻れば、航空業界は再び成長軌道へ戻るのだろうか。

本稿では、こうした一般的なイメージや報道内容をそのまま受け入れるのではなく、中国三大航空会社の2026年半年度業績予告を出発点として、航空会社の収益構造、市場環境、路線構成、コスト構造、そして地政学的要因を総合的に分析した。

業績予告という客観的なデータを読み解くことで見えてきたのは、「ロシア上空を飛行できる」という一つの優位性だけでは覆せない、航空業界全体の構造変化である。

当ラボでは、個別のニュースだけでは見えにくい航空業界の本質や、航空会社の経営環境の変化を、決算や運航データ、国際情勢など複数の視点から分析していきたい。今回の記事も、その一つの試みである。


用語解説

  • 業績予告:中国の上場企業が確定決算に先立って公表する業績見通し。大幅な赤字や業績変動が見込まれる場合に開示が求められる。確定値とは異なる場合がある。
  • 親会社株主帰属純損益(帰母浄利潤):連結純損益のうち親会社株主に帰属する部分。日本の「親会社株主に帰属する当期純利益」に相当。
  • ベリーカーゴ:旅客機の床下貨物室で輸送される貨物。旅客便の減少は貨物輸送能力の減少にも直結する。
  • サイクル:航空機の1回の離着陸を1サイクルと数える単位。タイヤ・ブレーキ・降着装置などの整備はサイクル数を基準に管理される。
  • 燃油サーチャージ:燃料価格の変動分を運賃に上乗せする追加料金。
  • 暑運:中国民航における夏の繁忙期輸送(おおむね7月〜8月末)。

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参考資料・出典


【本記事について】 本記事は、各社が公表した業績予告・決算資料、報道等の公開情報(OSINT)に基づき、当ラボが独自に分析・考察したものです。記事中の第2四半期単体の損益は当ラボの推計値であり、各社の開示値ではありません。今後の確定決算の公表により、内容が変わる可能性があります。投資判断の参考とする場合は、必ず一次情報をご確認ください。

航空インテリジェンスラボ|2026年7月19日分析


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